ある夜薫はいつものように八の宮邸を訪れました。
ところがその夜は八の宮の姿が見えません。美しい娘たちが琵琶と琴きん
を弾いています。思わず薫は耳を澄ませてたたずみます。

「なんと。ここは田舎と気にも留めてはいなかったが」