「前の常陸宮様の姫君で初瀬の御帰りです。行きにもここへお泊りに
なりました」

「ほう。早く中にお入れなさい。こちらは奥に隠して」
薫の君は影からこっそりと姫をご覧になります。
じっと見とれて涙をおこぼしになりました。