罪滅ぼしのつもりだった。

雪月ちゃんが死んでしまったのは、紛れもない私の責任。それは養護教員として、当然のことだ。

死んでしまった命は、もう戻ることはない。一番の償いは生き返らせてあげることだけど、それはできない。

だから、私は私の命をもって、この罪を滅ぼし、償い、罰を受ける。

私にできることは、それだけだった。…いや、本当はもっと方法があったのかもしれないけれど、それしか思いつかなかった。

死んで償うなんて責任逃れだ、と言われたら、確かにその通りだ。死人に口なしとはよく言ったもので、もう私は謝罪の言葉すらも言うことができなくなる。だけどそれでも、見合う代償は見つからなかった。

…じゃあせめて、最後にもう一回だけ、謝っておこうか? …考えるまでもない。謝らないなんて、いくらなんでも無責任すぎる。

二、三歩車道に出ていた私の体を、再び歩道に戻す。そして、部屋にいた時とは違い、今度はちゃんと声に出して、思いを空に伝えた。

「…雪月ちゃん…本当にゴメンね…。私のせいで全部失わせちゃって…私、どう謝ったらいいのか分かんないよ…」

空の星はチカチカと光るばかりで、私の声に対する反応はないようだった。…どうやら今見ている星の中に、星になった雪月ちゃんはいないらしい。

「だから…これは私なりに考えてみたことなんだけどね、罪滅ぼしのために、私も死のうと思ってる。無責任かもしれないけど…私、雪月ちゃんの傍に行きたいんだ。だから…いいかな? 許してくれる…?」

答えなんて返ってくるはずがなかった。だけどもし仮に答えが返ってきていたとしても、恐らく私は、私のやろうとしていることを肯定する答えしか聞かなかっただろう。

「…じゃあ…待っててね…」

再び歩道から車道に向かって歩き出す。その瞬間、右腕を誰かに掴まれた。