ゴールデン☆キャット

桐生君の笑顔は私にとっては嬉しいと感じるものだけど、笹野さんにとってはとても残酷なものだと思う。


もしかしたら逆の立場になっていたかもしれない。


私が傷つく方だったかもしれない。


桐生君に手を引かれて教室を出た。


教室を出る前の笹野さんの潤んだ目が妙に印象に残った。


廊下を歩いている間、みんなからの視線が痛かった。


私と桐生君のつながれた手に視線が注がれている。



「つーかお前らいつからだよ?」

「体育祭の日〜。」

「え!? それでお前打ち上げ来なかったの?」

「そー。」

「『そー。』ってお前ね……電話で話したんだから言えよ。」

「言わなくても直ぐ分かるじゃん?」

「まーそうだけどさ。 ま、今度からはみのりの事みのって呼ぶわ。 ってかお前案外ヤキモチ妬きだな。」

「好きな女独り占めしたいって思うのは当たり前っしょ。」



言ってる本人より言われてる私の方が恥ずかしがってる気がする。