ちゃんと相手と向き合ってるんだ。


私に対しての事じゃないのに、そんな一面を見たら余計好きになっちゃうよ。



「何で? 付き合ってみたら上手くいくよ……絶対上手くいくって!!」



いつもは強気な笹野さんなのに、声は震えていた。



「俺、結構独占欲強いんだよね。 だから好きな奴には俺だけを見ててほしいって思うし、俺も独占したいって思うし、マジ自己中な奴なの。 でも亜子はご自由にどうぞって感じ。」

「みこ……。」

「一緒に居る事でふっきれないなら俺はもう亜子とは関わんない。」



桐生君の言葉は私の胸にも突き刺さった。


他人事とは思えない。


私も気持ちを伝えたらこうなるんだ。


突然ドアが開き、泣いている笹野さんと目が合った。


笹野さんにきつく睨みつけられ、横を通り過ぎる時に勢いよく肩をぶつけられた。


走り去っていく笹野さんの背中から目を逸らせなかった。