その日の夕刻頃から、ぽつぽつと雨が降りだした。

幸い、本降りになる前に、ポックとセレイアは、雨風のしのげそうな洞窟を発見することができた。

今夜はここに泊まるのがいいだろうと、二人は洞窟の比較的浅くて広々とした空間に野営の準備をした。

ポックは例の力で薪を取り出し、火を起こす。

セレイアはテントを設営する。

薪の灯りだけが頼りの暗い洞窟の中で過ごす夜だが、ポックがいてくれるおかげで、心細さはなかった。

やがてザアッと雨粒が洞窟を叩く音が聞こえてきた。

ポックなしで、ディセル達は大丈夫だろうか。

セレイアの表情を読んだのか、ポックが明るい声をあげた。

「スノーティアスたちなら、心配いらないよ?
おいらがちゃんと、野営に必要な荷物全部あげてきたから。
それにあの場所から理の塔は、もうそんなに遠くないからな」

考えていることをあっさり読まれ、セレイアは驚く。

ポックは人々の感情の機微に、敏感なようだ。