セレイアが重い瞼を上げた時、まず目に入ったのは、雲一つなく、澄んだ青空だった。

その空があまりにもきれいだったから、セレイアはこう思った。

(私、死んだんだわ)

だって、吊り橋から渓谷へ、まっさかさまに落ちたのだから。

(落ちた…そう、落ちたんだわ!)

記憶が鮮やかによみがえる。

ヴェインとの一騎打ちの最中、吊り橋が切れて――セレイアもヴェインも、落ちたのだ。

(じゃあ、ここは天国…?)

身じろぎしようとすると、全身が悲鳴をあげた。

「…いた………」

天国にいるにしては、リアルに全身が痛む。

これはいったいどういうことだろう。

ごつごつとした手触りの地面に手を突き、なんとか上半身を持ち上げてみる。

するとあたりの景色が目に飛び込んできた。

目の前には激しく流れる川があり、セレイアは川辺の岩場の上にいるようだった。

(川――――)

吊り橋の上から、遥か下方に川が流れているのがちらりと見えたのを思い出す。

自分はそこに落ちて流され、運よくここに流れ着いた、ということだろうか。

奇跡だ。