ヴェインも虚を衝かれたような顔をしている。

次の瞬間、ふわりと体が浮くような感覚がセレイアを襲った。

(え……――――――?)

ぐらりと、視界が揺れる。

橋を支えるロープが切れたのだと、理解した時には、もう遅かった。

セレイアの体はすさまじい失墜感におそわれていた。

「きゃああああ――――――!!」

「うわっ!!」

目の前のヴェインも、なすすべもなく落下していく様が目に映る。

ヴェインも理の領域では空を飛べないのだ。

ここは渓谷。確か下は――――

「セレイア―――!!」

遠くなる意識の中で、ディセルの絶叫が、聞こえたような気がした。