遠目に、きらきらと光を弾く湖が見えてきた時、一行は誰もが異変を察知した。

黒い甲冑の群れがうごめくようにして、湖の周囲に集まっているのを視界にとらえたからだ。

「あれはレコンダムの軍!
やはり、理の領域を狙って、来ていたのか!」

黒い甲冑の群れは、ぞろぞろと列になって、今まさに、湖に架けられた大橋を渡っているところだった。

「渡らせてはいけない! 急いで飛ぶよ! みんな!」

シルフェが風の力を使い、一行を素晴らしい速度で滑空させる。耳元で風が唸り景色が流れ、慣れないセレイアは少しめまいがした。

上空から、大橋を眺める。

大橋とは、その名の通り、巨大な橋だった。

見たところ人間界と大して変わらず、ロープと木を組んで作ったもののようだ。

だがつくりはしっかりとしていて、横幅が三人くらいの人間が余裕で通れる。そして何万という軍勢が渡っても、びくともしていない。