「天上界に住む神々は、基本的に何かを食べたりしなくても生きていけるんだ。
人間の真似をして何か食べることはできるけどね。
人間である二人は、きっとおなかがすいただろうと思ったんだけど…」

そこまで言って、ディセルは肝心の食事を用意する方法が思い当たらないことに気付いたらしい。あたりを見回しているから、草原の草でも食べさせるつもりなのだろうか。

「食べ物だな? いよ~し! おいらに任せろ!」

ポックが意気揚々と宣言する。

いったいどうするつもりだろうかと見ていたら、ポックはぽん、ぽんと光を弾けさせて、どこからか包丁にまな板、水を張った鍋やおたま、野菜にミルクに香辛料を取り出した。

まるで魔法だ。

皆びっくりして目を丸くしている。

「サラマスだっけ? この鍋火にかけてくれ!」

「…、お、おう」

手際よく野菜を切り、煮立った鍋の中へとどんどん野菜を入れていく。

待つことしばし。

ほっこりと湯気を立てる、実においしそうなシチューができあがった。

「す、すご~いポック! なんてことができるのかしら」

想像だにしなかった能力である。