「理の領域って、どんなところなの? ポック」

先頭をふわふわと飛んでいくポックに、セレイアは訊ねてみた。

「険しい岩山が続く場所だよ。
断崖絶壁、それに急流もある。
そして何よりでっかいでっかい塔があるんだ」

その説明を聞いて、セレイアは落胆した。

「その塔、天を突く塔なんでしょう?
それなのにまだ小さく見えても来ないなんて…まだまだ相当遠くにあるのね」

「ちっちっち、それは違うなセレイア」

舌打ちするポックの瞳が輝いたので、セレイアはきょとんとする。

「違うの?」

「塔には魔法がかかっていて、理の領域の中に入らないと、目には見えないようになっているんだ」

誰が何のためにそんな魔法をかけたのか。

謎は尽きない。

神々であるディセル、サラマス、シルフェも、詳しいことを何も知らないとは、相当な謎を秘めた場所であることは確かだ。

「そういえば、セレイア、ボリスさん、おなかすいていませんか?」

ディセルの何気ない問いかけに、セレイアは思わず自分のおなかをおさえた。

「そういえば、ぺこぺこ………」

「う……俺も………」

いつから何も食べていないか、覚えていない。

ディセルが食事を用意してくれる前に、ディーネリアからの呼び出しがあったのだ。