“理の領域”は、天上界の中心にあるため、どの庭からも簡単にすぐそばまで近づくことができる。

しかし神々の庭と理の領域の間には、深く広い湖が横たわっており、それを渡る橋は、ひとつしかない。

その橋のある場所に一番近いのが、シルフェのおさめる風の庭だということだった。

セレイア一行はシルフェの風の力で、びゅんびゅんと速度を出し、風の庭の上を飛んでいた。

見渡す限りの草原を、さわやかな風が渡っていく。

「風の庭は神々の庭の中でも、一番広いのよ。
だからまだまだ飛ばなくちゃならないけど……ごめんなさい、ちょっと休憩にしてもいいかしら?」

シルフェが休憩を提案した。

シルフェ曰く、神の園に戻って来て力は強くなっているものの、この世界の住人ではないセレイアやボリスを運ぶのに、かなりの力を要してしまうらしい。

急がばまわれと言うし、シルフェの力ばかり当てにするわけにもいかない。

セレイアたちは草原の上に降り立ち、しばし歩いて理の領域を目指すことにした。