スノーティアスが苦笑しながら二人をとりなす。

「ポック、彼に悪気はないんだよ。気を悪くしないで。
ディーネリア様、彼は俺の友達です。信頼できる相手です。
それよりポックが理の領域への道案内をしてくれるって、本当?」

ポックは頬を紅潮させ、待ってましたと自分の胸を得意げに叩いて見せた。

「もちろん本当さ!
理の領域なら、おいらにとっては庭みたいなもんさ!
なんたって長い間そこに住んでたからな」

「 “住んで”いた…………?」

それを聞いて、ディーネリアが何かを思案するように長い睫毛を伏せる。

「おいらも早く、スノーティアスにおいらのこと思い出してもらいたいんだ。
大切な思い出、いっぱいあるんだから。
だから協力する! ぜひ、おいらに道案内を任せてくれ!」

ポックは一同を見渡して、それから一番地位のあるディーネリアに頭を下げた。

ディーネリアはまだ思案深げな顔をしていた。

誰にも聞こえないような小さな声でつぶやく。

「ポック、あなたは、ひょっとして………」

その表情は明るいものでは決してなかった。

暗く、どこか哀しみを感じさせる表情。

しかしそれもすぐに、普段の柔和な微笑みへととってかわられた。

「わかりましたわ。
スノーティアスの信頼を、私も信じましょう。ポック、あなたに道案内を頼みます。
人間たちは何をしてくるかわかりません。皆さん、くれぐれも気を付けてくださいね」