「サラマス、シルフェード、そして人間界のお方。
わたくしから頼みがあります。
理の領域へと向かう彼ら人間たちを、止めては下さいませんか」

そんなふうに頼まれなくとも、三人は同じ気持ちだった。

「はい!」

「絶対に、止めて見せます。
お任せください」

「同じ人間として、落とし前はきっちりつけさせてもらいます」

レコンダムたちを止めるために。

三人は理の領域に旅立つ覚悟を決めた。

その時、彼らの背後から一艘の小舟がこの広間に到着した。

乗っていたのは、見覚えのある銀髪の青年と金髪の少女だった。

「スノーティアス! セレイア! お前たちも来たんだな!」

レコンダムと戦った時その場にいただけなので良くは知らなかったが、彼らはサラマスたちの知り合いのようだった。

銀髪の青年スノーティアスの美しさは、尋常ではない。やはり天上界の住人なのだろうとあたりをつける。

金髪の少女セレイアの方は、美しいけれど親しみのある感じで、人間にしか見えなかった。

「サラマス! シルフェ! …よかった、やっと会えたわ」

駆け寄ってきたセレイアが、シルフェとサラマスに視線を向けて、心から安堵したように微笑む。

その表情からは強い信頼が感じられた。

ボリスと出会う前は仲間たちと旅をしていたとシルフェは言っていたから、その仲間と言うのが彼女たちなのだろう。