頬に触れる冷たい感触に、セレイアは目を覚ました。

ふわりと、軽い感触。

そっと目を開けると、視界いっぱいに映ったのは、はらはらと、とめどなく舞ってくる白い花びらだった。

体に馴染んだこの冷たさは……

(雪……………)

―そう、雪だった。

(雪………?)

一瞬、ここはトリステアなのかと思った。

けれどすぐに違うと思いなおす。

まず、空気が違う。

清浄な山の空気を、十倍澄ませて美しくしたような、喉をすっと通らせる感じたことのない空気だ。

次に、頬に触れる雪。それは確かに冷たいが、ほんのりと優しい冷たさ。トリステアの雪にあるような、ぴりっとした冷たさが感じられない。

さらに雪は、一粒一粒わずかに光を帯びて輝いていた。

(ここは………いったい………)