きらきらと輝く、寄せて返す波。

その青は深くどこまでも澄んで、吸い込まれそうだとボリスは思った。

足元には、さらさらとした感触の、真っ白な砂浜。

そのすぐそばに、大理石の美しい城館が建っていた。

―ここが“水の庭”。

水の神ディーネリアが住むという場所。

城館の正面入り口前には、高く低く惜しげもなく水を噴きあげる噴水がいくつもあった。

あちこちに水路が設けられ、城内を船で行き来できるようになっているようだ。

いかにも涼しげで、気持ちの良い場所だと思う。

ここに来るまでにシルフェの“風の庭”も通ってきたが、そこも風が吹き抜ける気持ちの良い草原地帯だった。どちらも甲乙つけがたい美しさだが…やはり風の庭の方に惹かれるかもしれない。

風は……シルフェそのものだから。

そんなことを考えながら、サラマスとシルフェと共に城館の門をくぐった。