気が付くとセレイアは無数の星のまたたく、宇宙の中にいた。

漆黒の闇と、輝く光だけが存在する世界を、ぐんぐんと速度をあげて、飛んでいく。

なぜこんな場所にいるのか。

どこへ向かっているのか。

何もわからない。

けれども不安は感じていなかった。

なぜならセレイアの体を包み込む、確かな体温がすぐそばにあったから。

ディセルがセレイアを抱き上げてくれている。

すぐそばにいてくれる。

だから、平気だった。

どんなことも、怖くないと思えた。

二人の体はどんどん加速し、やがてひときわまばゆい光の渦が前方に見えてきた。

このままいくと、あの渦の中にとびこむことになるだろう。

二人の間に言葉はなかった。

何かしゃべろうとしたところで、このような場所ではきっと声にならなかっただろう。

ただ、自分を抱き上げる腕に優しい力がこもったのがわかった。

それだけで、やっぱり怖くないと思えた。

光は近づくにつれますます強まり、もう目を開けていられないと思った時―――

二人は、光の渦の中へと突入していた。