ディセルに手を引かれ、たどり着いたのは、館の裏手にある凍った湖だった。

湖面は鏡のように、樹氷の木々を映し出しており、きれいだ。

「とっても綺麗ね!」

セレイアは弾んだ声をあげたが、ディセルは無言だった。

それから小さく低い声で、教えてくれる。

「この湖は人間界とつながっているんだ。
俺はいつもここから、トリステアを見てた。
ほら」

「え? あ!! フリムヴェーラ! みんな!!」

懐かしいトリステアの白い街並みに、忙しく立ち働く人々が見える。フリムはプミラの世話をしてくれているようだった。置いてきてしまったプミラのことを心配していたが、ちゃんと自力で故郷に帰っていたのだ。

「わざわざこれを見せに来てくれたのね? ありがとうディセル」

「………」

「……ディセル?」

ディセルの異変に、やっと気づいたのはこの時だ。

しかし、それは遅すぎた。遅すぎたのだ。