「!!」

シルフェもサラマスも、驚きに目を丸くする。

シルフェはサラマスの前でそんなことを言われたことに、動揺しているようだった。

「ボ、ボリス…ええっと……」

「絶対に幸せにする。だから共に来てほしい……。
そしてこれから王になる、俺を支えてほしい。誰よりもそばで」

「…………」

シルフェは返答に困っているようだった。

それもそうだ。これはプロポーズにほかならない。

沈黙を破ったのは、意外にもサラマスだった。

ふんと鼻を鳴らして吐き捨てる。

「行ってしまえよシルフェ。
お前のバカ面を見なくて済むなんて、せいせいするぜ」

「サラマス……」

シルフェは唇をかみ、傷ついたように視線を泳がせていた。

けれど意を決したように、ボリスを見た。

「わかったわ。私も一緒に人間界に行く。あなたをそばで助ける」

「…! 本当か!」

ボリスが思わず笑顔を見せると、シルフェも微笑み返してくれた。

「ええ」

嬉しくて、傷の痛みも構わず、ボリスはシルフェを抱きしめた。

不機嫌そうなサラマスの表情など、目に入らなかった。