ポックがふわりと羽を動かし、扉の中央まで飛んでいく。

そしてそっと、そこにあった魔法陣の中央に、その小さな手を伸ばした。

「いやぁぁぁぁっ!」

がむしゃらに駆け寄ろうとするセレイアを、ディセルの腕がつかまえた。

「セレイア」

ディセルは無言で首を横に振る。

セレイアにだって本当はわかっている。

こうするしかないということが。

人間たちの侵略から天上界を守るために。

ディセルの記憶を取り戻すために。

「ポック! ポック! やめて!」

一瞬、ポックが優しい瞳をセレイアに向けた気がした。

しかしすぐさま前を向き、魔法陣の中央に――――

触れた。

その瞬間、扉からまばゆい光が放たれた。

ポックの小さな体からも、まるで共鳴するように強い光が放たれる。