「鍵が開かないならそれでいい。レコンダムたちも開けられないんだから。だからいったん帰ろう、ポック」

ディセルの言葉に、はっとする。そうだ、そのとおりだと思った。

だが…。

「人間たちが強制的に天上界からはじき出されるまでに、奴らが悪さを何もしないと思うか? ことは一刻を争う。強制的に、一刻も早く、奴らを追い出さないと。それに、スノーティアスの記憶はどうするんだ? おいら、やっぱり思い出してほしい、おいらのこと」

「それは……」

ディセルも言葉に詰まってしまった。

ポックの視線が動き、セレイアとディセルをとらえる。

その目はもう、異端のポックの目ではなかった。

使命を負った、理の鍵人の目だった。

「…理の鍵人として、おいらの魂はこの日を待って来た。
今こそ使命を全うしよう。
ありがとう、そしてさようなら、二人とも。
お前たちに、真実を見せよう。
天上界のこと、くれぐれも頼んだぞ」