セレイアの目が本の内容をとらえる前に、まるで走馬灯のように、本に書かれた知識がセレイアの中へと様々な場面の映像を伴って迸った。

―遥か昔。

本当に、遥か、遥か昔のこと。

三つの世界を串刺しにしてはじまった原初の世界に、最初の神が現れた。

彼は、“時”をつかさどる神であった。

理の塔へと最初に足を踏み入れた彼は、そこにすべての知識を集め、すべての仕掛けを施して、去った。

仕掛け―それは、遥か遥か未来のために、塔を守る“守護獣”と、“理の鍵人”を生み出すこと。

彼は“運命の神”と呼ばれ、寿命を持たず、天上界にのちに生まれたどの神にも属さない存在として、三界の狭間の空間、“運命の間”に住まわった…。



セレイアの手から本がこぼれ、ごとりと床に転がる。