まばゆい光を覚悟していたが、しばらく待ってもいっこうに光はやってこない。

セレイアたちは恐る恐る室内に入っていき、そして大きな違和感に気付いた。

―窓の外の景色だ!

「…うそ! このあたり一帯、砂漠になっちゃってる!?」

セレイアが叫んだのとほぼ同時に、

「こんな森のど真ん中に建っていたはずないのに…!」

「どうして海の真ん中になっちゃってるんだ!?」

と、ディセル、ポックがてんでばらばらのことを言った。

お互いに目を見合わせる。

―見えている景色が、違う…?

そのことに気付いた時、窓の外からまばゆい光がやってきて、塔の中にまで侵入してきた。

さきほどと同じく、頭の中に直接情報が注ぎ込まれる。



―ここは“全”。
すべてである場所。
それゆえに決まった形を持たない。
決まった世界に存在できない。
全部が蜃気楼。
全部が現実。
それが“全”。




「………………」

一行に言葉はなかった。