声をかけると、うわ言のように言った。

「おいら……ここを知ってる……でも、なんで?
ここに入ったことなんて、ないのに………」

「ポック…?」

再び声を掛けると、ポックははっと正気づいた。

「あ、ああ。大丈夫! おいらも行くよ! よし、次の階へ!」

セレイアとディセル、ポックは駆け足で、光る階段を登った。

階段はふわふわと、雲でも踏んでいるような踏み心地だった。

体重をかけても大丈夫かと、思わず確かめてしまうが、見た目は揺るぎなく、しっかりしている。

原初の理の世界とは、こういうものなのだろうか。

ふわふわと実体の感じられない物体。

底が抜けないよう祈りながら、セレイアたちは次の階へとたどり着いた。

そこは、四方にとても広く窓がとられた部屋だった。

上にのぼる階段はない。

人々が床に何人も倒れている。

すでにレコンダムやボリスの姿はない。