堅く抱き合い、再会を喜んでいた二人に、サラマスの遠慮のない声がかかった。

「お~いお二人さん!
今は戦闘中だぜ~?
それくらいにしときな」

その一言で、今がどういう状況か気づいた二人は、ぱっと慌てて体を離した。

二人とも赤面している。

(どうしよう、みんなの前で。恥ずかしい…)

が、そんなことを思っている場合ではないようだ。

レコンダムの兵はいかんせん数が多く、仲間たちだけでは塔への侵入を防ぎ切れていないのが見て取れた。

もう幾人もの兵士が、塔の中へと入ってしまったのだろう。

皇帝レコンダムも。

―一刻の猶予もない。

「俺はレコンダムを追う!」

ボリスが剣の血を振り払いながら宣言し、塔の中へと駆け去る。

「私も行くわ!」

「俺は絶対に行かなきゃ」

「おいらも連れて行ってくれ!」

セレイアとディセル、ポックがそれに続く意思を告げる。