互いに飛び退り、再び睨み合う。

(注意をそらして、その隙を狙う!)

「ポック! 金盥(かなだらい)か何か、音の鳴る物出せる!?」

突然戦闘が始まり、空中でおろおろしていたポックに声をかける。

「金盥(かなだらい)!? 出せるけど、どうすんだ!?」

「向こうの方で思いっきり地面に叩きつけて、大きな音を出してちょうだい!」

セレイアの意図がわかったのだろう。

ポックは胸を叩き、「任せろ!」と飛んで行った。

セレイアは再び獅子の下へと駆けた。

下段からの突き上げ攻撃。

それも予測されていたらしく、太い爪で弾かれる。

―すごい力だ。

槍が手から弾き飛ばされそうになるのを、ぐっとこらえた。

間髪入れずに横薙ぎに薙ぐ。足元をさらおうと思ったのだが、跳んでかわされた。

その時、金盥を地面に叩きつける、派手な音があたりに響き渡った。

ぴくりと、獅子がその音に反応して一瞬動きを止める。

(…今だわ!)

セレイアの渾身の突き攻撃が、見事に獅子の肩を貫いた!

重い手ごたえがあった。