「非常識だってことはわかってるわ。でも…放っておけないんだもの。ごめんねポック」

「はは、セレイア、甘すぎ………でもそういうところ、嫌いじゃないよ」

ポックはさすがに複雑そうな表情をしていたが、最終的には頷いてくれた。

「おい! ヴェイン! 貴様、起きろ!
いつまで寝ているつもりだーっ!!」

テントの中に滑り込んだポックに耳元でわんわん騒がれ、さすがのヴェインも目を覚ましたようだった。

「…うるさい………ひねり殺すぞ」

冷ややかにそう告げても、ごねるように毛布を引き寄せる今のヴェインに威厳も何もない。

「やれるもんならやってみろい! さあ朝だぞ! これから長い道のりなんだから、おいらたちの足を引っ張るなよ!」

「…………? 何を言っている……?」

怪訝そうに眉根を寄せるヴェインに、セレイアは苦笑しながら告げた。

「理の塔まで、あなたを連れていくことにしたのよ。
怪我、してるでしょう? このまま放っておけない」