翌朝、目が覚めて一番に隣のヴェインのテントの様子を見に行った。

彼の性格上、さっさと一人で出て行ってしまうのではと思っていたからだ。

しかしセレイアのその予想は外れた。

ヴェインはテントの中で、泥のように眠っていた。

セレイアの気配に気づく様子もない。

よほど全身の傷がひどいのだろう。

体が傷を治そうとしていると、一度眠ったら、起きたくても起きられないものだ。

「…これからこいつをどうするつもりだ? セレイア」

早起きのポックにそう訊ねられても、セレイアはう~んと唸ることしかできなかった。

急いで理の塔に向かった方がいい。

仲間たちも待っているし、険しい道のりなのだ。

かといって、この状態のヴェインを放っておけば、彼は確実に死ぬ。夢見が悪い。

じっくり考えた末、ため息のように結論がでた。

「…彼を放ってはおけないわ。
…連れて行く」

「ええっ!? 連れて行くって、こいつを理の塔に、わざわざ案内してやるってことか!?」

事実だが、改めてそう言われると耳に痛い。