彼女の薬指(仮)


「じゃ、クロ。後、彼女よろしくー」

 先輩と彼女の関係もわからないまま、むしろ彼女の名前もちゃんと知らないまま。
 昼食を食べ終わった幸弥先輩が、片手をひらりとさせて、とても良い笑顔と共に席から立ち去った。
 


ーーーーーーーーーー逃げた。



 そう思った。
 そう思わずにはいられなかった。
 遠くのほうで、中等部の授業を始めるチャイムがなってるのが聞こえた。
 5時限目の授業のさぼりが決定した瞬間に、なんだかわけのわからない彼女だけが残った。