「素直なんだね」 「え?」 「自分の感情に」 優しく微笑んだ彼にすごくふわふわした気持ちになれた。 「そういえば、名前は?」 「有村彩葉です」 「有村?」 そう言って私の顔をじっと見た。 「?」 な、なんでしょう。 「1年生?」 「そうです、けど」 「へぇ」 よろしくね、と彼はそう言った。 「あの、名前は?」 「結城咲真(ゆいきさくま)。2年だよ」 一つ上の先輩。 「って、なんか今更名前知るのもな」 「確かに」 また、自然に笑えた。 これが私の大きな出会いだった。