「…傘ないの?」 「あ、はい…」 「入っていいよ」 「え!」 春瀬俊哉は私の手を引き、傘に入れてくれた。 なになに?! どうしてこうなる?! 「あ、私大丈夫なのでっ…!」 「風邪引くだろ」 そう言って、ずっと私の腕を掴んだままだった。 不思議な人だけど優しい人なんだ。 春瀬俊哉を少し知れた気分。 会話が二回目という浅い関係の人と一緒に帰るのも不思議な感覚だった。