混乱に混乱を重ねて家に帰るわけにもいかず、町中をうろついた末、慣れ親しんでいて且つ夜は人気のない学校に来たのだった。
そうして今に至る。
まだ猫の体に慣れていないのか、猫は夜目が効くのに正直暗闇を歩くのは怖かった。
「どうしようかなぁ、というか人間に戻れるのかな…」
言葉を口に出してみる、が耳に届くのは愛らしい、にゃーん、という鳴き声のみ。
泣きたくなってくる。
うにゃうにゃと鳴いているとカツーンと足音が響いた。
ビックリした私は本能的に毛を逆立てさせる。
こんな夜の学校に足音だなんて嫌な予感しかしない。
足音は徐々に近付いてくる。
来るな来るな来るな…。
私の願いはむなしくも届かず、暗闇の中から、ぬっと何かが現れた。
「い、いや…っ!」
もちろんこれも鳴き声にしかならない。
全てを諦めかけたその時、その何かがようやく何なのかがわかった。
学生だった、それもごくごく普通の。
「あれ、珍しい…」
細い線の今にも消えてしまいそうな繊細そうな彼は小さな声でそう言った。
珍しいのはこんな時間に学校にいるお前だと言いたい。
「あんたの方が珍しいわ」
「えっ、そんな事ないよ…僕は珍しくなんて…」
え。
会話が成り立った。
先ほども述べたように私は今、にゃんにゃんと鳴くことしかできない。
それなのになぜ…。
「あっ、あの、ね。僕、たまに猫の声、わかるんだ。」
ここまでが私と彼の出合い。
そうして私と彼の不思議な生活が幕を開けたのだった。
そうして今に至る。
まだ猫の体に慣れていないのか、猫は夜目が効くのに正直暗闇を歩くのは怖かった。
「どうしようかなぁ、というか人間に戻れるのかな…」
言葉を口に出してみる、が耳に届くのは愛らしい、にゃーん、という鳴き声のみ。
泣きたくなってくる。
うにゃうにゃと鳴いているとカツーンと足音が響いた。
ビックリした私は本能的に毛を逆立てさせる。
こんな夜の学校に足音だなんて嫌な予感しかしない。
足音は徐々に近付いてくる。
来るな来るな来るな…。
私の願いはむなしくも届かず、暗闇の中から、ぬっと何かが現れた。
「い、いや…っ!」
もちろんこれも鳴き声にしかならない。
全てを諦めかけたその時、その何かがようやく何なのかがわかった。
学生だった、それもごくごく普通の。
「あれ、珍しい…」
細い線の今にも消えてしまいそうな繊細そうな彼は小さな声でそう言った。
珍しいのはこんな時間に学校にいるお前だと言いたい。
「あんたの方が珍しいわ」
「えっ、そんな事ないよ…僕は珍しくなんて…」
え。
会話が成り立った。
先ほども述べたように私は今、にゃんにゃんと鳴くことしかできない。
それなのになぜ…。
「あっ、あの、ね。僕、たまに猫の声、わかるんだ。」
ここまでが私と彼の出合い。
そうして私と彼の不思議な生活が幕を開けたのだった。
