『お姉ちゃんがいなかったら私はここにはいなかった。お姉ちゃんがいたから私はこうやって生きていられる。でも…、あんなのまた見なくちゃいけなかったら私は…』
 私はお姉ちゃんのこと小さい頃から好きだった。優しくて楽しくて本当に大好きだった。でも…、あの光景みたら体全体から鳥肌が立って、体が震えた。犯人はとりあえず無事だった。でも…。
『お姉ちゃんは人を殺してなんかいないずっとそう思ってる。でも、怖くて…、』
『わかってる。ごめん。だから今度からは桜の怖い思いはさせない。約束…、』
『さあ!手を掴んで…、』
 お姉ちゃんはまるで天使のように光から現れて私を助けてくれた。まだ怖いけどもう一度、私はお姉ちゃんを信じる。
「あれ?おとなしくなりましたね。では、続きを…、」
「おりゃーーー」
「な、何だ…。」
「桜の体を気安くさわるんじゃねえよ。この猿。桜を触るなんて100年早いんだよ」
 お姉ちゃんは直ぐに五十嵐君を殴った。お姉ちゃんはやっぱり強い。
「はぁ、調子に乗ってんじゃねえよ」
バシッ、グキッ、
「はぁ、調子に乗ってる。それはお前だろ。お前、二重人格だろ。さっきと全然性格違うし、性格だってそう簡単に代われるもんじゃない。」
「まさかおまえもか?」
「そうかな?この体は桜のものだけど今、あなたと話してるのは本物の桜ではなく桜の姉。梅」
「姉?」
「そうよ。私は死んでる。でも桜が心配だから桜の心の中にずっといた」
 お姉ちゃんは私達のことをざっくりと話した。
「そうかよ。でも俺は二重人格とはちょっと違うな。俺は存在した人間だった。」
「それ、どう言うこと?」
 五十嵐君の中の人は実はちゃんとした人間だった。でも何故、五十嵐君の中に!?
「俺は元々、犯罪者だ。3年前、宮城で起こした事件…、あれ俺だ…。」
「え!?」
 この人はあの3年前の犯人だった。あの事件は確か妻と娘と兄がいて…、3人ともリビングで血まみれに倒れていた。その時、ナイフを持ってた人がこの男だった。
「ひと月前に刑務所から出たが、その時地面に光ってる物があってそれを取ろうとした同時にこのガキも拾うとしてて同時に持ったらこの通りだ。」
 男の人はその事を詳しく話していた。でも…、一つ気になることが…。
「でもなんで桜を襲った。事情はよくわかったけど桜を襲う理由ねぇじゃんか?」
「あぁ、実はこういった能力、俺だけだと思ってたんだ。だけど相談所に聞くとそれらしい人がいるって聞いてだから…、」
「だったら普通に聞けばいいじゃん」
「それがこの五十嵐君っていう子がそういう趣味みたいでこの行動は五十嵐君がやったことだ。」
「なるほどね…、」
 お姉ちゃんが急に静かになりました。
『お姉ちゃん?どうしたの?』
 するとお姉ちゃんは五十嵐君に近づき胸ぐら掴んだ。そして…、
「おい、テメエ。そんな理由で桜に手を出したのか?今からご褒美として殴ってやる。歯くいしばれぇ」
『ぎゃあー、お姉ちゃん落ち着いて。今は五十嵐君じゃないんだから男の人まで被害が起きるよ!』
 お姉ちゃんは私のために五十嵐君を殴ろうとしていましたがそこまでしなくても…
「おっと、悪い。少し頭に血が上って…。でもその事件、本当は兄だろ。」
「え?どうしてそれを…」
「私、死んでるから聞きにいけるんだよね。すると奥さん」

『あの人は私達を守ろうとしてくれてね。長男はお父さんにもナイフを向けたけどお父さんはそれを止めようとしてそしてそのナイフが長男の腹部に刺さってしまったんです。』

「奥さんはむしろ感謝していましたよ。優しい夫だったって」
「妻がそんな事を」
 男はぐずぐずと泣き出した。
「だからそんな奥さんのためにあなたたちを分解します。」
「はい。」
『お姉ちゃん、そんな事できるの?』
「まあね、死んだ人でも意外とこう言うもん出きるわよ!」
 お姉ちゃんは確かに亡くなってる。でも、まさかそんな事ができるなんて…。便利ですね…。
「でもする前に一つだけ注意して。やっている最中は絶対目を開けないで!もし開けたりしたら私の力が消え、もう二度と元に戻すことは出来ない。」
「元に…、戻れなくなる…。」
 男はだんだんテンション下がっていました。でも、待って!
『お姉ちゃんもしかしたら私達も分解出きるんじゃないかな?私達だって元々は別々の人間だよ。もしこの男の分解出来たら私達も…、』
「無理よ!」
 お姉ちゃんはすぐに拒否をした。
『どう…、して…?』
「分解できるのは実際に体がある人だけこの人は元々、生きている人間。でも私は既に死んでいる。体なんてない。これは桜の体…、私は桜の心の中にいるだけ…、」
 お姉ちゃんはとても悲しそうな目をしていた。私は気がついた、もしそんなの出来たらお姉ちゃんは最初からしていると…。
「じゃあ、始めるよ!」
 お姉ちゃんが始めようとしたその時…。
「桜ー、無事か?」
「桜さん!!」
「お前たち何で?」
「そのしゃべり方もしかして梅か?おい!桜は大丈夫なのか?」
 ドアを思いっきり開けて来たのは高坂君と夏樹でした。2人は凄く汗びっしょりで慌てた顔をしていた。
「で、何で2人がここに?」
「何でじゃねぇよ!帰るぞ」
「ちょっと離してよ。今大事な所なんだから!」
 夏樹は私の腕を掴んできた。でもお姉ちゃんはすぐに腕を払いました。
「はあ?大事な事。こいつがどういう奴なのか知ってて言ってんのか?」
「うん、知ってるよ。さっき全部聞いた。だから今から…」
「そうかよ、だったら話は早いな。こいつが暴力団とつるんでいて二重人格ってこと」
「え?」
『え?暴力団?』
 夏樹は急に変なことを言いだした。
「おい!待て、暴力団何のことだよ?」
「はあ、だからこいつが暴力団とつるんでるって」
「はぁ?二重人格は知ってるけど暴力団っていうのは…」
「あの…、それもしかして」

『はぁ?二重人格がどこにいるかって?知らねえよ!』
『そこを何とか?』
『じゃあ、その二重人格って言うの見せてみろよ』
『え?あ、はい。』

「それで二重人格を実際見せてたら暴力団の人達は凄く興味を湧いていて…勿論ちゃんと教えてくれました。だからここに、なので暴力団って言う話はもしかしてその時ではないかと…。」
「って言うことは、二重人格はどこにいるのか聞いていただけでそこを通っていた女性が勘違いして暴力団とつるんでると…」
 夏樹は急に力が抜けたように体が倒れて、そして再び立ち上がって高坂君の方へと向かいそして…、
 バシッ、バシッ
 頬をビンタをした。
「痛いじゃないですか、夏樹。」
「痛いじゃねえよ!でたらめな情報流しやがって」
「おいおい、2人とも喧嘩しない。とりあえず2人はそこのベッドにでも座ってろ」
「え?」
 お姉ちゃんは早速、再開した。
「さっきの注意、覚えているか?」
「はい、大丈夫です。」
「では、いくぞ」
 お姉ちゃんが再開すると物凄い力を強くし、迫力がすごかった。男は凄く苦しそうだった。目が開きそうなぐらいでした。でもちゃんとお姉ちゃんが言ったことを覚えていた。お姉ちゃんがしばらくしていると男をみると五十嵐君とあの男が離れそうな感じでした。そして…、
「開けて下さい…、あれ?」
「凄い、本当に離れている。ありがとうございます。梅さん。」
「凄いな梅、こんな事出来るのか」
 おかしい、何で…。