残りのギムレットを飲み干し、程なくして紫依は席を立つ。相反して立ち上がれずにいる俺。 「紫依、俺は」 言いかけて止める。一体それこそ俺は紫依に最後の最後まで何を伝えたいのだろうか。その言葉がどうしても見つけられない。 好きだ 大好きだ 離れたくない 一緒にいたい ごめんね ありがとう さよなら 幸せになってほしい そんな言葉ばかりが頭の中で散々と堂々巡りしている。それを見透したかのように紫依は何時も通りの明るい、俺が大好きな笑顔でそれを口にする。