Strawberry Night


一度目を閉じ、涙を拭いそしてまた顔をあげる。そこにあったのはもう涙ではなく困ったように笑う紫依の笑みだった。

「でもこればっかりは仕方ないよね。だってあれだもん。人の感情は必ず変化するし、始まりがあれば必ず終わりがくるもん。」

遮るように、またもう俺の話は聞きたくないとばかりに饒舌に話し始める紫依。今度は俺が耳を傾けて薄くなったアルコールをもう一度口に移す。

「だって思わない?世のカップルかて夫婦だって最初から愛があったわけじゃない。あの人いいなーって好感を抱いて、好感が片思いして恋になってさ。それから奇跡のような偶然が重なりあって想いが通じあって恋が愛になって、見事に感情は変化していくの。」