そう、嫌いになったわけじゃないし嫌いになんてなれない。今でも俺は彼女を、紫依を愛している。 けれど時間が流れれば人も俺も、環境も心境だってその都度変化する。停滞をすればそこに成長はない。留まるわけにもいくまい。 気持ちは変わらずとも、それに逆らって貫き通せるほどの情熱と意志が俺にはなかった。 子どものように軽々しく伝え続けた「ずっと一緒にいようね」。 誓った筈の永遠なんてものは存在しなかったのだ。 「…時の流れってさ、良い意味でも悪い意味でも嫌なものだよね。」