「……ん…」


ここはどこ?



瞳を開けるとさっきまでいた資料室とは違い、白い天井が見えた。

独特な消毒の香り、周りには真っ白なカーテン…


「保健室…?」

ゆっくり体を起こすと、保健室のベットに寝ていたことがわかる。

キョロキョロ辺りを見回すが、人のいる気配が全くしない。この静けさからして、どうやら保健医の先生もいないようだ。



「どうしてここに…」



ほんの少し前まであたしは資料室にいたハズ。だけど、今いる場所はどう考えても保健室にしか見えない。



ズキッ


「痛っ…」


鋭い痛みを頭に感じた瞬間、今まであった事を思い出した――



あっ!!!

そういえば、あたし木村くんの前で泣いてたんだ。泣き止んだ後理由も聞かずに、ただずっと抱き締めててくれて、あまりにも心地よかったからあのまま寝ちゃったんだ…


きっと、あの後木村くんがここに連れてきてくれたのだろう




あたしってば何してるの?

怒って

叫んで

泣いて


木村くんの前で、よりによって昨日初めて会った人に対してあんな風に振る舞うなんて……

挙げ句の果てには眠っちゃって…


彼女にならないって説得したかっただけなのに、またキスされちゃって、なんか気持良いとか温かいとか思っちゃって……



木村くんに出会ってからのあたしはオカシイ。

素の本当のあたしを、いとも簡単に晒け出してしまう。

まだ、それを言葉として表すことは出来ないけど、感情が溢れだしてしまった。
そんなボロボロと崩れていくあたしをしっかりと支えてくれたのは確かに木村くんで

あの温もりも木村くん本人のものだった。