『ここだけの話。姉ちゃん実は……後藤さんの写真を、手帳に挟んで持ち歩いてるんですよ~。ぐふふっ♪』
「……え?」
一輝君は、声を潜めて言った。
それ……言っていいのか?
それを俺は……聞いていいのか?
けど……聞きたい気もする……。
まるで、悪魔に魂を売るか売らないかを迷ってるみたいな気分だ。
そんな俺の迷いを無視するかのように、悪魔・一輝君のセールストークは続く。
『たぶんこれ……デートの時っすよねぇ。空と海をバックでいい絵だし!後藤さん、犬とじゃれてて楽しそう~!後藤さんの犬すか?』
犬?
……あ、二回目のデートの時か。
「いや、偶然居合わせた飼い犬だけど……」
「ふ~ん……ハハッ、姉ちゃんらしいな。たぶんバレないように、ちょっと遠くから撮ったんだろうな~♪』
「……映見……」
それが可愛いと小馬鹿にする一輝君とは違って……俺は、胸が高鳴りっぱなしだった。
そういえば映見、デジカメを持ってきてた。
それで海と空のキレイな景色に感動しまくって、バシバシ撮っていて……
その時に……バレないように俺を?
ウソだろ……そんなの、可愛すぎだろ。
そう思ってしまった途端に……いとおしすぎて堪らなくなった。


