三回目のデート



『ここだけの話。姉ちゃん実は……後藤さんの写真を、手帳に挟んで持ち歩いてるんですよ~。ぐふふっ♪』

「……え?」


 一輝君は、声を潜めて言った。

 それ……言っていいのか?

 それを俺は……聞いていいのか?

 けど……聞きたい気もする……。

 まるで、悪魔に魂を売るか売らないかを迷ってるみたいな気分だ。

 そんな俺の迷いを無視するかのように、悪魔・一輝君のセールストークは続く。


『たぶんこれ……デートの時っすよねぇ。空と海をバックでいい絵だし!後藤さん、犬とじゃれてて楽しそう~!後藤さんの犬すか?』


 犬?

 ……あ、二回目のデートの時か。


「いや、偶然居合わせた飼い犬だけど……」

「ふ~ん……ハハッ、姉ちゃんらしいな。たぶんバレないように、ちょっと遠くから撮ったんだろうな~♪』

「……映見……」


 それが可愛いと小馬鹿にする一輝君とは違って……俺は、胸が高鳴りっぱなしだった。


 そういえば映見、デジカメを持ってきてた。

 それで海と空のキレイな景色に感動しまくって、バシバシ撮っていて……

 その時に……バレないように俺を?

 ウソだろ……そんなの、可愛すぎだろ。

 そう思ってしまった途端に……いとおしすぎて堪らなくなった。