三回目のデート



「失恋した時の兄は……ものすごく落胆していて、食事も喉を通らないほどでした。
 私と父・母は……兄が自殺してしまうのではないかと心配で心配で……。
 普段明るくて優しい兄のあの姿は……今でも思い出すと胸が痛みます」


 淡々と話しているように思えるが、ジワジワと悲しみの感情が、声に出てきている。

 ──南琉が話しているのは、俺が中学生の時のことだ。

 その当時、俺は好きだったコとつき合っていた。

 けどそのコは、俺のことを好きだった他の女子達から妬まれ、イジメにあってしまった。

 それで俺は、そのコから『ごめん……もう無理……』と言われてフラれた。

 無理もなかった。俺も守りきれなかったし……。