「失恋した時の兄は……ものすごく落胆していて、食事も喉を通らないほどでした。
私と父・母は……兄が自殺してしまうのではないかと心配で心配で……。
普段明るくて優しい兄のあの姿は……今でも思い出すと胸が痛みます」
淡々と話しているように思えるが、ジワジワと悲しみの感情が、声に出てきている。
──南琉が話しているのは、俺が中学生の時のことだ。
その当時、俺は好きだったコとつき合っていた。
けどそのコは、俺のことを好きだった他の女子達から妬まれ、イジメにあってしまった。
それで俺は、そのコから『ごめん……もう無理……』と言われてフラれた。
無理もなかった。俺も守りきれなかったし……。


