「もしかして……お付き合いをしている、兄の『姫君』・映見さんのことを思い出していたのですか?」
「……へっ?」
ふいに映見のことを指摘されたら、いろいろを思い出してしまい、顔が少し熱くなった。
ちなみに南琉の言う『姫君』とは、世間でいう『彼女』のことを指す。最近、時代劇にハマってるからだな。
「いや。今、顔が緩んでいたのは、『南琉はホントに可愛いなぁ』って思ってたからだよ」
「……」
あ、嬉しそう。
表情は全然変わってないけど、うっすら頬を赤らめてる。
南琉のこういった微妙な表情の変化は、家族や友達にしかわからない。


