三回目のデート



 南琉は、小学校高学年辺りから、この声で普通に話していたら周りが聞き苦しいんじゃないかと気にしだした。南琉のアニメ声を、面白半分でイジったヤツがいたらしい。

 それで傷ついた南琉は、声を徐々に抑えだした。

 結果、このような控えめな声になってしまったという。


 さらに南琉は、丁寧にしゃべればこの声をカバー出来ると思いつき、独学で敬語を勉強しだした。

 結果、身内にまで敬語に。

 声を抑えて、敬語で淡々と話していくうちに、自然と感情までも抑えてしまい、表情がめったに出なくなってしまった。

 俺も、父さんも母さんも、最初はかなり心配だった。

 けど本人は、そんな風になった自分をかなり気に入っていた。

 それならと、俺ら家族は温かい目で見守ることにした。今じゃ普通に南琉として接している。