「……あ、そういえばさ、先輩は映見のこと、名前で呼んでるんでしょう?」 「え?うん、そうだけど……」 卒業式の次の日に会った時、名前を呼んでくれたのを境に、先輩は私を『映見』と呼ぶようになった。 「映見は……先輩を名前で呼んでみたいとは思わないの?」 「えっ!?そんな、先輩を名前で呼ぶなんてっ!」 私にとっては、キ……キスと同じぐらい、ハードルの高い行為に感じる。 弱気な私にイラついたのか、果奈がカウンターをバンッと叩いた。