俺は言ったとおりに、なるべくゆっくりと歩き始めた。
映見も、俺に手を引かれながら付いてきている。
はぁ……手を繋いでるだけでこんなにドキドキするとは。映見の手……すごく柔らかいし。
去年の文化祭のお化け屋敷で、映見に触れてもここまでドキドキしなかったのに……まぁ、あの時の俺はずっと着ぐるみを着ていたから、映見に直接触れた感がなかったしな。
手汗が出ないことを祈ろう。
「あの……先輩」
映見が遠慮がちに話かけてきた。
「ん?」
「さっき……何であんなに怒鳴ったんですか?」
「えっ、あれ!?あれはー……」
何となく後ろめたさがあったが、俺がナンパしたんじゃないし……正直に言うか。


