アイドル君と私



「おっ、いーね?うんっ」


そう言って笑った廉の笑顔に、ホッとする。


……何か


少しだけ


ほんの少しだけ


廉くんとの距離が
今までより近くに感じられる気がした…。


「じゃあ行こうか?もうすぐなんでしょ?」


「うんっ」


二人は再び車に乗り込んだ。


そして、
そこから走り続けて、20分。


私にとって見覚えのある風景が…。


「あ―…懐かしい~」


私がそう言って、廉くんの方を向くと、
何だか少し驚いた顔をしていた。


「廉くん……どうしたの?」


「あっ、いや…この町ってさ…」


「…うん?」


そう言いかけて廉くんは止まった。


どうしたんだろう?


来たことあるのかな?


この町に…?


まさか…ね?