アイドル君と私



「あっ…うんっ、かも…」


「私、廉くんが持ってきたみたいにいろいろ買って来たよっ」


ニコッとして咲が買い物袋を廉に見せる。


「…咲ちゃん…」


「薬飲む前に何か作るね?それまで寝てて?」


「…うんっ」


「じゃぁ、行って来るね?」


そう言って咲が立ち上がろうとすると、咲の手を廉が掴んだ。


「…えっ…」


廉は照れた顔で口を開く。


「あっ…来てくれてありがとう…」


「廉くん…」


「俺…会いたかった、会いたかった…咲ちゃんに…」


「……っ…」


「なんか…夢みたいだっ」


「……廉くん、夢じゃないよ?大丈夫、しばらくいるからっ…」


咲の言葉に廉は火照った顔で笑った。


咲もニコッとすると、一旦キッチンへ。


おかゆの支度をしながら、はぁーと息を吐く。


「ヤバイ…胸がドキドキする」


廉に手を握られ
“会いたかった”の言葉を思い出す。


「…だめっ…」


私は廉くんの看病に来てるんだからっ。
…なんて、私も会いたかったけど、


拓海くんに…感謝。


そしておかゆが出来て廉の元へ持っていくことに。


ベッドのそばにお盆を置くと、そっと廉に声をかける。


「廉くん…おかゆ出来たけど、もう少し寝てる?」


「…んっ…」


廉がゆっくり目を開ける。


「ありがとう咲ちゃん、食べようかな?」


「うんっ」


廉が起きようとするのを咲もサポートする。