アイドル君と私



廉は手に持った比奈からのチョコを見る。


「……持ってけないよな?」


廉は一旦マンション入口に向かって歩いた。


そんな一部始終を見てしまっていた咲。


廉の姿に、咲は木陰に隠れ、眉にシワを寄せてうつむいた。


「今のって…高沢比奈…?どうして…?」


どうして…一緒のタクシーで帰ってきたの?


「………っ」


咲は前に望が言っていた、“再共演をきっかけに”
…って言葉を思い出した。


「廉くん…」


2人が何話してたかまでは聞こえなかったけど、さっき高沢比奈が廉くんに渡してたのって…
もしかして…。


バレンタインの…
チョコなの…?


廉くん、受け取ってた。


咲の視線の先には、廉がマンションに入ってく姿が見える。


咲は少し考えてから、廉のマンションの暗証番号を入力し、廉の部屋番号のポストの中に、そっと…チョコを入れた。