アイドル君と私



そして、二台の車は発進する。


友香里の車の中で、咲はただ景色を眺めていた。


「……咲ちゃんっ」


「あっ…はいっ?」


「なんか…思っちゃってる…?」


「えっ…?あっ…」


友香里の言葉に、咲は少しうつむきながら口にした。


「正直……どうしたらいいか…分かりません」


咲の言葉に、友香里は運転しながら口を開く。


「……なにもしなくて、いいんじゃない?」


「……えっ…」


「廉は咲ちゃんに、なにかして欲しくて…ここに呼んだわけじゃないと思うな?」


「えっ?けどっ…」


「ただ、咲ちゃんを会わせたかったのよ、お母さんにっ」


「……っ…」


さっきの…廉くんと、
同じ笑顔だ。


「私…本当に、ここに来て良かったんでしょうか?」


「えっ?いいよっ、私も嬉しいっ」