文化祭から1ヶ月くらいして、とうとうプレゼントを渡す日が来た。
今までで1番緊張している。
部活が終わって、少し足早に歩いてやっと校門に着いた。
「お、おつかれー」
心臓がバクハツしそう。
「あ!実久ちゃん!おつかれ」
なんだかどっちも照れてるようにしか周りからは見られていないと思う。
どのタイミングで渡そう…。
「話しながら歩こう?」
「…」
そう言われたけど、頷くことしかできなかった。
自転車を押して帰ってる男子、隣で歩いている女子。一緒に帰っている。
カップルに間違えられてもおかしくない。
でも、拓哉君には彼女さんがいる。
少し複雑な気持ちだった。
「拓哉君、これあげるね?」
この間買ったプレゼント。
お菓子しか入っていないけど、拓哉君が好きだと言っていたチョコも入ってる。
「あ、ありがとう」
拓哉君が少し照れたのがわかった。
照れている顔、悲しそうな顔、笑っている顔…。
色々な拓哉君を最近見れて、なぜだか少し嬉しかった。
今日は初めて照れている顔を見れた。
「実久ちゃん、そろそろこの辺で帰ろうか」
「そうだね!じゃ、また今度ね」
お互い家は全然方向が違う。
会えるときもほとんどないと思う。
学校が、唯一2人で会える所。
また、一緒に帰れるといいな…。