学校が終わり、部活がある人は部活へと行った時間帯。
私は1人の空間で深呼吸を繰り返していた。
ドキドキと高鳴る鼓動は私が興奮していることを表している。

その時、優しい声が遠くから聞こえてきた。


「高瀬さん、準備できましたか?」

「……はい」


覚悟を決めた様に私は扉を開いた。


「あっ……」


目の前にはゴクリと息を呑む蒼井先生の姿があった。
そんな先生に笑いかければ、先生も柔らかい笑みを浮かべてくれる。


「高瀬さん、凄く綺麗です」

「あ、ありがとうございます」


少し照れるが先生にそう言って貰えると凄く嬉しかった。
自分の体に視線をやれば水着が目に映る。

今日、私は水泳部へと復帰する。
いや。復帰と言うのは少し違う気がする。

今日が始まりの日だ。
私の第2の水泳人生の始まりだ。


「行きましょう、高瀬さん」


先生は真っ直ぐと私に向かって手を差し伸べる。


「はい!」


その手を迷う事なく掴み、私たちは歩き出した。
新しい舞台へと。