翌日


「おはよ真希!!」

「おはよう……」


まだ寝惚けた頭で階段を下りてリビングへ行けばお母さんが笑顔を浮かべていた。
いつもテンションが高い人だけど今日はやけにニコヤカだな。


「真希!」

「へ!?」


考えていればお父さんが私の前に立っていた。
お母さん同様に凄い笑顔を浮かべて。
何なの?
首を傾げながら苦笑いを浮かべる。


「へ!?じゃないわよ!!
これよこれ!!」

「……水着?」


お母さんは私の前に何かを突き出した。
それは昨日使った水着だった。
一体なんなの?
そう思ったが私は2人の笑顔につられて笑顔になった。

「貴方……また……」


震える声は私の涙腺をくすぶった。
そうだ、ずっとずっと。
お父さんにもお母さんにも心配を掛けてきたんだ。

優しく見守ってくれていたけど。
本当は私にまた泳いで欲しいと誰よりも思っていたんだ。


「……うん……泳ぐ!」


わざとらしく明るく言えば2人は泣きだしてしまった。

いい大人が子供みたいに声を荒げて。
そんな光景を見ていたら私まで泣けてきた。

心配かけてごめん。
ずっと抜け殻の様な私を支えてくれてありがとう。

これからはもう。
絶対に立ち止まったりなんかしない。
だから。


「もう1度だけ、泳いでもいいかな?」

「勿論!!」


2人の笑顔に押され私はしっかりと頷いた。